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1. 俳句集その1<現在〜H21年>  2. 俳句集その2<H20年〜H12年>

Charley Ebasas の自作俳句集。季節は表示月より多少ずれます。


令和3年8月 向日葵

本堂の散らばる靴や夏休み

水馬や使はぬプール水澄ます

ひまわりの迷路や仔犬先きを行く

葉擦れざざー鳥いっせいに発つ盆の波

帰省とふ彼なにわ路を熊野路へ


令和3年7月 蓮

朝まだき蕾のままの蓮かな

梅干かリカー漬けかと迷ふ雨

男手のぎゅっと絞りし胡瓜もみ

薬味なし醤油一滴ひや奴

接種あと夏負けのごと副反応


令和3年6月 藤の実

参道の標となりし垣見草

藤の実の垂れしベンチに腰あずく

断捨離で残せし小袖むしばらひ

古き蚊帳ガーナの夜に復活す

水輪かき遺伝子つなぐ蜻蛉かな


令和3年5月 深緑

鶯も声変はりして谷渡る

深緑や水素の聖火煙なく

三密を避けるが如く里桜

菊桃や真紅に燃へて人寄せて

山笑ふ季節移らふ箕面滝


令和3年4月 開花予想

密やかに胴吹き桜吾をまねく

開花予想早まり手帳見なほせり

花に鳥ありて無音の人だかり

早咲きの花に集くや鳥と人

今いずこ人ひとひとの桜みち

胴吹き桜


令和3年3月 田おこし

田起こしの虫待つ知恵や黒い鳥

如月や放つ矢のごと通り過ぐ

強く振る鈴緒合格祝いかな

鷺立つや春田にいまだ畝もなく

捗らぬまま迎へたる弥生かな



令和3年2月 枯れ蓮

建設地ことし最後の蕗の薹

蓮枯れて墨絵の如き小鷺かな

焼き芋やほうばる顔のほころびて

手袋の無くて持ち替ふバッグかな

風花をワイパーに受け鳥居過ぐ



令和3年1月 破魔矢

お守りも破魔矢も通販スマホかな

匂ひなき庭に真紅の寒薔薇

まなこ閉ずれば幼き頃の柚湯

逝きし友ふつと憶ふや寒椿

香るゆげ一等地占むおでんかな



令和2年12月 牡蠣

宅急便牡蠣や嬉しと即メール

御堂筋イルミネーション冬きたる

紅葉狩り吉野窓なる茶席かな

思ひ出となる日待たるるコロナ風邪

同窓会若気あふるる枯れ尾花



令和2年11月 藤袴

村の墓季節あらたむ桔梗かな

播磨路の軋む水車や藤袴

落ち鮎や渦に竿さす天竜川

今宵またカレーライスや隙間風

朝寒や夜具を重ねて咳こらふ



令和2年10月 鈴虫

深き祖谷わたれば高き天に雲

轟音の鐘に鈴虫憚らず

櫓田の暮れゆく郷や多田銀山

茅葺きにとんび鳴くなり蕎麦の花

菊花展の白花となるマスクかな



令和2年9月 茄子の馬

不揃ひの脚もて帰れ茄子の馬

星三つ煌くあたり天の川

郷の山川も自粛や盆休み

世の騒ぎ厭はず伸びよ日輪草

送り火も浮世のさまを示しをり



令和2年8月 涼む

断捨離や暑き納戸で諦念す

天女舞ふ阿弥陀と涼む鳳凰堂

季節来たり見入る鰻のメニューかな

坪庭の雑木枯れ初む晩夏かな

花菖蒲さかり終はりて雲映る



令和2年7月 甘野老

薔薇の渦深き迷路や虫眼鏡

手水舎の紫陽花すくひ本堂へ

片陰も消へ重き雲能勢街道

紫陽花に傘あづけたる撮影会

流行やまひ去る兆しなく梅雨の空


令和2年6月 鴨川床

パンデミック鴨川床に鴉鳴く

暑きマスク地蔵にも掛け祈りたる

熱き句碑マスクの友と集きをり

コロナ禍の鎮まり願ひ花火上ぐ

つる薔薇や怪魚すむとふ沼覗く


令和2年5月 甘野老

コロナとて三密咲きの甘野老


池田市にて(5月) 甘野老 キジカクシ科
ナルコユリ属(アマドコロ属) クリックで拡大

怪獣の影あり春のスーパームーン

ひばり鳴く毛馬の蕪村碑淀の水

携帯の待ち受けに置くアセビかな

つめくさの(かむり)つくるの影


令和2年4月 蓬

芭蕉池不動の蝌蚪かと)岩間寺

のみち迷ひながらの蕪村苑

春暁のテレビ騒がしコロナかな

雪解けで軋む水車や時忘る

野趣あふる蓬のかほりの餅

のみち迷ひ長柄の蕪村苑

アルプスの雪解けゆるり水車


令和2年3月 菜の花

の花や歌と絵と句になりにけ

再会を祝ふがごとく雛かな

群れ咲きて摘み惑はせる黄水仙

日一日早まる夜明け風光る

露に濡れ朝あざやかに紫木蓮
 


令和2年2月 根深

人影やあの寒空の観覧車

温室やめがね曇りて模糊(もこ)となり

前かごに根深(ねぶか)つき出し発進す

二十歳(はたち)ふ句会祝はん寒牡丹

(はは)命日煮凝り溶けし飯見入る

(ざわ)めきて木枯らし去りし御堂筋


令和2年1月 菜粥

除夜の鐘遠くに鳴りて寝返りぬ

芝居はね道迷はせるオリオン座

除夜の鐘僧転がせて知恩院

作り笑み美味しと食らふ菜粥かな

静けさやオリオン星座南中す


令和元年12月 紅葉

三重塔 紅葉かぶさる岩船寺

遊覧車窓 照り葉そよぐや天守閣

奥池や猛魚住むとふ谿もみじ

三つ四つと喪中の便り山眠る

逆さ紅葉遊覧船と揺れにけり


令和元年11月 柿

レジ籠に思はず柿の加へたる

風吹けば稲穂も乱る雲疾し

高枝に贄刺す百舌鳥の頃となり

縄の傘兼六園の松手入れ

ここもまあ寫眞倶楽部やコスモス園


令和元年10月 金木犀

年毎に肥大化やまぬ野分かな

金木犀匂ひやかなる嵯峨野かな

膝快癒コスモスの丘雲ながる

蓑虫の居れば説明いらぬなり

山高し疲れ無からん渡り鳥


令和元年9月 夕立

大夕立すぐ止みますとしたり顔

コンビニや夕立が混ますレジの列

少しだけ青空見せる厄日かな

かの国と鍔競り合ひの秋刀魚かな

目出度さも紅き梅肉白き鱧


令和元年8月 神輿

イヤリング揺れて気がかりギャル神輿

雨戸あけどっと飛び込むセミの声

船と舟こすり合ふよな天神祭

雲居立つ吉野の里や葛の花

蕎麦の花ゆれて美山にとんび鳴く



令和元年7月 浴衣

貴重とふ蚊帳アフリカの児に笑顔

行く川に沿ひて四葩(よひら)の藍と緋と
 

白人の浴衣のうなじ金閣寺

煎餅より鈴焼きをとる齢かな

今は昔ママゴト紅きへび苺


令和元年6月 沢蟹

水抜きし泥池かくす若葉かな

憂愁のよぎる薄暑や新赴任

はったい粉問ふ人もあり麦の秋

沢蟹と遊びし友も腰かばひ

G20桐の花さく大阪城

全部抜き水なし池に若葉かな


令和元年5月 鼓草(タンポポ)

行く春や平成一期の歌終ふ

音の出ぬベル集まりて馬酔木かな

半袖をまた仕舞ひたる暮れの春

鼓草踏まれてもなほ種とばす

令和なりわが家記念の(はな)見上ぐ


平成31年4月 花

曇り空標本木に花三つ

待ちわびて水(ぬる)むとも蕾硬し

大橋に尾灯つらなる春の宵

飛行機雲 地に蒼き苔椿落つ

平成が令和へ(うつ)(はな)ひらく


平成31年3月 雛飾り

二年ぶり受験を終へて雛飾る

読み終へず新書に移る春の宵

看護士と車椅子とで雛飾り

風邪のやま過ぎて見上ぐる春の空

春雨や泥水たまり雲写す


平成31年2月 寒鯉

寒鯉や向き夫々にして不動なり

木枯らしの去りて宿り木現はるる

湯豆腐もおからも食すインバウンド

枯れ蓮の寂びたる三門南禅寺

灯篭の晴れ着となりししだれ梅

枯れ蓮の池面に映る南禅寺

平成31年1月 日記

ポケットのサイズに似せて日記買ふ

冬の田に木魚響くや満中陰

襟元に山茶花舞ふや苔の庭

落ち葉焚き童歌にぞ残るらん

民俗館雇われ婆や囲炉裏炊く

ポケットに似せて買ふなり日記帳

平成30年12月 大根

切売りの大根選びし老婦人

枯れバラ園匂ひありなむ帰り花

燃えるやうな紅葉を想ひ吟行す

孝の忌や精進揚げに河豚食らふ

落日や逝きし朋あり枯れ尾花


平成30年11月 松茸

バカ松茸香りたがわぬ とふ便り

艶歌むる心や秋の風

築地にも豊洲にも無き鰯かな

あの紅花(こうか)柘榴と変身す

新製品(けむ)らず香る秋刀魚かな


平成30年10月 赤とんぼ

廃坑や虫の声なく(しずく)落つ

赤とんぼ(とど)まるべしやそよぐ葦

南州忌テレビ番組漏れ聞こゆ

高齢のトレッキングや秋の蝶

吊るし柿振り返り行く園児かな


平成30年9月 秋簾

つる草のかたく絡みし秋簾

苧殻立つ飯と位牌と孫の掌と

騒ぎをり自撮りに紅き烏瓜

表から見えじと思ふ秋簾

滝道に乙女の頬や秋海棠

風折れし石を枕の秋桜

薄き紅乙女の頬や秋海棠


平成30年8月 虹

鳥追ふて溪流下れば虹かかる

吉備の山 里沈ませし出水(でみず)無惨

晴れた空高き低きと立葵

信者らの無我の奉仕や夏椿

獺祭(だっさい)あり汗の六甲山


平成30年7月 蝉時雨

鳥啼いて登る参道四葩(よひら)かな

石の庭ひと色()むる紫蘭かな

大賀ハス千年眠りポンと咲き

山寺の読経と競ふ蝉しぐれ

梅雨寒やシャワー熱めで曇る窓



平成30年6月 サイダー

ウクレレや揃ふ腰蓑仏桑華(ぶっそうげ)

コーラよりサイダー採りしレトロ女子

水垢の残りし(はは)の金魚鉢

制服や馴染む間もなし更衣 

パウダーと呼び変へてみる天瓜粉


平成30年5月 卯の花

三味線(しゃみ)の音や卯の花揺れて祇園町

和庭園浅き飛び石(いと)蜻蛉(とんぼ)

台所(だいどこ)(さや)散らかりて豆ごはん

蜃気楼 烏賊(いか)る灯り重なりて

高原の(もや)に沈むや水芭蕉


平成30年4月 花

琴の音や夜桜うかぶ高台寺

咲き急ぐ花にわが身の影ありて

花のもと迷彩服で鳥を待ち

太陽の塔化粧して花(たた)

春を呼ぶ異国の声の稲荷かな


平成30年3月 啓蟄

啓蟄や郷に従ふ外来種

冬五輪メダルの色は政治(いろ)

梅が香に鳥は見下ろし人見上ぐ

褐色の山にかすかな霞かな

進学祝い離散家族をつなぎたり


平成30年2月 初えびす

初えびす若者走る記者走る

団塊の祖母と詣でる受験生

受験生のハンカチまとう家原寺

川縁りのおでんの屋台暗き空

鳥羽伏見風花舞ひし離宮跡


平成30年1月 初灯明

灯明(とうみょう)揺れる炎に(ちち)(はは)

城の影ゆーらり揺らす真鴨かな

冬将軍なま微温(ぬる)き夜を吹き飛ばし

絵馬むすぶ素直なりけり今日の孫

インバウンド増えれど減りし新成人


平成29年12月 茶の花

茶の花や色香も知れぬ禅の寺

猫はしる路地に匂へるおでんかな

鹿(ろく)(えん)や角追うハッピ枯葉飛ぶ

白鳥と外堀を往く遊覧船

紅葉を洗ふ時雨や滝の音


平成29年11月 菊日和

柿ひとつ民家集落静かなり

陶器市にて鑑定士ぶる菊日和

集いきてにわか俳人秋を詠む

緑地園今や錦の秋(まと)

茅葺きの民家見上ぐる空高し


平成29年10月 神輿

限界集落お神輿かつぐ人もなく

明け(あけ)(じら)むほどに消へたる虫時雨

アルプスを陰に夕焼け中央道

イナゴ食う戦後の話孫の耳

戦前は摂津の空に天の川


平成29年9月 昼寝

星空を見つつ昼寝や天文館

 定年の旅で知り初む吾亦紅

剥製の鷺一羽あり(ひつじ)の田

盂蘭盆会耶蘇の家族と迎へたり

あかね雲消えて(つんざ)く大花火

田に剥製のごと鷺一羽


平成29年8月 蝉

仰向けの蝉や遺伝子つなぎ終へ

破裂音に撮り忘れたる大花火

跳ね祭坊主かんざし買ふた町

供花(ばな)三日で枯らす猛暑かな

夜の静寂(しじま)小蝉ひと声偲び鳴く


平成29年7月 蓮華

朝まだき読経に開く蓮華かな

紫陽花や吾また年輪かさねたり

坪庭を紫雲に染めしラベンダー

岩山に紫蘭ひとかぶ枯山水

名優や思ひを語る黒蜥蜴

思ひ出の紫陽花のころまた巡る

ラベンダー紫雲に染めし狭庭かな


平成29年6月 昇り藤

昇り藤白寿のケーキ灯す如

初ゆかた樟脳の香にたたみ(じわ)

舞子浜大橋越ゆる夏かもめ

四万十川縄張り争ふ鮎の影

薫風や学童帽の列かすめ


平成29年5月 新緑

暮れゆけば鶯の声そぞろなり

新緑の(たに)さかのぼる鯉流し

郭公(かっこう)の声に目醒めての宿

滝口へいざなひ消ゆる夏の鳥

舗装みち割るど根性すみれかな

新緑の(たに)華やぐや鯉流し


平成29年4月 遠足

遠足のバスざわめきを乗せて去り

西の空晴れて惑はす春の雨

卒業式地震(なゐ)に消ゆ友ともどもに

老桜の苔むす幹やワビとサビ

盆栽展ルビつきラベル木瓜(ぼけ)の花

老桜の苔むす幹や千利休


平成29年3月 蕗の薹

歳ひとつ取りて息災蕗の薹

東風吹かば(ちち)思ひ出づ天満宮

紅梅の晴れ着の山は賑はひて

日溜まりの小川の岸に筆の花

田楽に山椒の香り木曽の宿


平成29年2月 冬の星

宴はて暗きビル陰冬の星

鬼は外豆遠巻きに寒烏

句遊びや薄氷ゆらす鯉の影

新しき知性にひたる菜花忌

風花の消ゆるプールの小波かな


平成29年1月 初詣

息災を一願とする初詣

風呂吹きや長寿を願ふ了徳寺

感冒の鳥渡り来て(とり)昇天

クリスマスお茶と和菓子の老夫婦

初夢や鶏鳴醒めて琴音(ことね)かな


平成28年12月 帰り花

トランプや合衆国の冬の陣

暮れなずむ八坂の塔や帰り花

冬支度わらべ地蔵のよだれかけ

大団地もとは里山紅葉山

紅葉の公園見おろす観覧車

大団地もとは紅葉の里の山


平成28年11月 黄落

黄落に鯉の波紋のもつれけり

萩揺れる源氏の郷や猪名の川

枯葉落ち庭に信楽狸出づ

彼の岸へ逝くともがらや秋の声

黄落に逆さに揺れし浮見堂

黄落に揺れし逆さの浮見堂



平成28年10月 葡萄狩り

葡萄狩り北アルプスの暮るるまで

嵐山(らんざん)やアラブ被りに枯葉舞ふ

夢に見し焼き松茸の食ひ放題

酒店(さかだな)やボジョレヌーボー待ちかねて

コスモスや読経に(かす)か揺れしかな

嵐山(らんざん)の異人の髪に枯葉かな


平成28年9月 鈴虫

鈴虫と浄土を語る嵯峨の僧

(そう)()迫り明日の世憂れふ熱帯夜

新涼や会話も弾むいき活きと

少し開け冷気で誘ふ香水店

白蓮や朝に訃報のメールあり


平成28年8月 日傘

にわか雨日傘に頬のひしめきて

子燕や日めくりめくり発ち去りぬ

七夕や若い店主のつくる街

夏休み慣れぬ絵日記なやみおり

夕立や匂ひまきまき立ち去りぬ

子燕や暦めぐりて発ち去りぬ

星祭り世話役若き商店街


平成28年7月 夏つばめ

久しぶり軒の古巣に夏つばめ

初夏に燃ゆ赤きスーパー火星かな

減塩の梅干選ぶ紀州旅

花菖蒲祭り終ふて二つ三つ

夏帽子かぶりしままでマイカーに


平成28年6月 ゆりの木の花

地味に咲くゆりの木の花吾が人生

揺れるポピー流る帽子や背くらべ

今日までの賞味期限や冷奴

園児らを迎へる風のポピーかな

静かなり絵筆もつ群れ木下闇

ゆりの木の花の如くの我が半生


平成28年5月 春眠

清正の春眠やぶる地震(ない)走る

仏桑花咲く襖絵や建仁寺

読みきれず山と積み上ぐ朝寝かな

朱に染めし拝殿に舞ふかはひらこ

アルバムやいろいろ想ふ春灯り

襖絵にヒビスカス咲く古刹かな

掌を合はす拝殿に舞ふかはひらこ



平成28年4月 花衣

新品の穴あきデニム花衣

山の色濃淡おぼろ猪名の川

擦り切れしデニムの乙女花衣

囀りや民家の庭に光さす

参道に咲くヒヤシンス妙心寺

雨の空夢見る旅路花の郷

思ひ出の窓辺にならぶ風信子


平成28年3月 栄螺

観念し苦し(わた)食む焼き栄螺

得意げに手に風ぐるま一輪車

朝刊の隅に新種の椿咲く

コンビニの海苔弁ふたつ京の旅

我々にやバレンタインにチョコもなく

海苔の香をリュックに詰めて京の旅


平成28年2月 風ぐるま

着飾りて弾むことなき江戸手鞠

冬眠を忘れし(けもの)まちを往く

梅ゆれて鳥の気配す枯山水

羽子板の美形に惚れし傘寿かな

春の旅また睨みあふ不動尊

江戸手鞠何処にも往けぬ一張羅


平成28年1月 七福神

太古より小舟に犇めく七福神

早や興奮パドックの馬白い息

注連飾り垂穂(たりほ)に騒ぐ雀かな

歳足りて(ちち)の襟巻似合ひけり

異邦人炬燵のまわり一周す


平成27年12月 落葉

濡れ落葉滑りて(はしゃ)ぐ園児かな

踏み迷ふ摂津耶馬渓落ち紅葉

鯛焼きに新しき波かぼちゃ餡

春日参道(みち)苔の燈籠紅葉纏ふ

()の夕餉(はは)の沢庵遠くなり


平成27年11月 秋桜

千年の石仏装ふ秋桜

ハイカーや湖畔の紅葉自撮りせり

暮れゆけば紅葉の濡れる箕面(みのも)渓谷(だに)

ハルカスの天空を往く渡り鳥

長谷池に映る雲間の紅葉かな

悠久の日吉大社杜鵑草(ほととぎす)



平成27年10月 金木犀

忘れ路の(しるべ)や能勢の金木犀

三柱(みつばしら)鳥居(とりい)尋ぬる古都の秋

小夜更けてあま戸開けよと月兎

公園の田に傾きぬ案山子かな

あぜ道に人集めたる曼珠沙華

忘れ路の(しるべ)となるや金木犀



平成27年9月 秋雨

秋雨や方丈の庭苔光る

無言にて人呼び止めし花氷

驟雨来て鳴き合ふてゐる雨蛙

物言はず人呼び止めし花氷

弱き声法師蝉にも温暖化

終ひ蝉 異常気象の響きあり


平成27年8月 夜の秋

同窓の雑魚寝の語り夜長かな

大覚寺炎と燃ゆる百日紅

嵐山に宵の明星鵜飼舟

芥川賞決まりマスコミ騒ぐ夏

茄子漬の青に染まるや朝の粥


平成27年7月 夏鶯

渓谷の夏うぐひすや声渡る

紫陽花や盛り過ぐるも人集む

瑞穂国ビルの谷間の青田かな

梅雨晴間着替えに惑ふ湿りかな

心地よし額に風の草むしり


平成27年6月 芍薬

車椅子目と鼻さきの大牡丹

菖蒲園つぼみ硬しや靴おもし

炎天や思はず入りし美術館

新緑に衣替へなる古刹かな

薄暗き緑陰に鳥休みをり

片陰や智慧ある鳥の通い道


平成27年5月 新茶

新茶の香まずデパ地下に到来す

一輪の牡丹に憩ふ車椅子

カフェテリアまず豆の飯朋の会

老桜の並木に細き若木立ち

展望台霞む母校へ鳥立ちぬ


平成27年4月 花

句遊びの日に散り初めよ花の園

街道の往く人見遣る雛人形

花散るや腕まくりして墓掃除

よき季節(とき)の来たれと願ふお水取り

平安の風情残すやしだれ梅


平成27年3月 風光る

早春の寺賑わひし国宝展

春の風枯山水の波紋かな

風光る日溜まりに鳩(すだ)きをり

 雛飾りあまた集まる異人の目

春の風想ひ出めぐる京の旅

 
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平成27年2月 寄せ鍋

寄せ鍋や奉行の声す隣の間

遠き席片手で交はす指年賀

小正月すぎて軍手の宮司かな

 春近し鳥や瀬音を楽しまむ

止まぬうち急ぎ集めて雪うさぎ

久々に浪速に雪のうさぎかな


平成27年1月 柚子湯

神妙に首までつかる柚子湯かな

インク()れメールに替へし年賀かな

遅々としてやっと拝殿初詣

ねんねこや昔()ふた()いま孫を

木枯らしややがて現る多宝塔


平成26年12月 散り紅葉

風呂敷の絵柄の如き散り紅葉

古寺や土塀崩れて枯尾花

山装ふ川は渦まく保津の船

何処(いづく)やらとんと顔見ぬ寒雀

畑荒らしそしらぬ顔の野猪走り


平成26年11月 
櫓田

道草や櫓田(ひつじだ)走るランドセル

芭蕉忌や(かはず)の句碑に雨しぐる

孫の手や障子開けたり閉ざしたり

秋の暮体操服の熟通い

石山寺いにしえ偲ぶ紅葉狩り

芭蕉忌や石山寺と句碑を()

石山や式部を偲ぶ紅葉狩り



平成26年10月 彼岸花

故郷や蝉と飛蝗(ばった)とカブトムシ

線香の(くゆ)る墓標や彼岸花

観覧車二人して()る月見かな

畔ゆけばおんぶ飛蝗(ばった)や寺の鐘

秋雨に裸地蔵の生きいきと

木犀や母の法事を待つ窓辺

観覧車二人で()るる月見かな

故郷や畦の飛蝗(ばった)に友偲ぶ



平成26年9月 野分

野分去り眩しき朝や鳩の群

傘もなし日照り地蔵に驟雨かな

バスを追ふ稲穂の波や母の里

そよ風や穂先に揺れる秋あかね

稲妻の迫りて警報メールあり



平成26年8月 風鈴

風鈴に目を細めたり観世音

飲み会や先ず皮切りは冷奴

暮れゆけば提灯揺れし賀茂涼み

飛ぶ景色車窓に消えて午睡かな

青鷺や息を殺すも鯉は跳ね

風鈴に目を細めたる菩薩かな



平成26年7月 蝌蚪

蝌蚪(かと)うごく悲恋伝はる心字池

あまがへる葉隠の術雲を呼ぶ

艶歌(つやうた)に咲き乱れしや水中花

緑葉に日々隠れゆく瀑布かな

五月晴れ孟宗伸びる嵯峨を往く

蝌蚪うごく悲しき恋の放生池

 

Charley の掲示板にイチロさんから推敲を頂きました。
悲恋など知らぬふりして蝌蚪遊ぶ



平成26年6月 卯の花

ひと枝の卯の花生けし茶室かな

庭藤は棚貰へずや地面這ふ

房だらり紫冴える九尺藤

紅き影明り障子につつじかな

撫子や現代っ娘の花言葉

さり気なく卯の花生けし茶室かな



平成26年5月 杜若

きっと来る青鷺待つやカメラマン

はだか木に衣を着せる穀雨かな

八つ橋を渡る母子と杜若

(みささぎ)に青鷺降りて季節(とき)を知る

(くわ)へ消えし鳥追ふレンズかな

枯れ枝に衣着せるやしぶき雨



平成26年4月 椿

人誘ふ斑入り新種の椿かな

盆梅に匠の心匂ひけり

温室の花曇らせる眼鏡かな

亡き母の細き仮名あり花色紙

都市化され土筆摘みにし土手いずこ

川荒れし背割り堤や花吹雪



平成26年3月 田起し

ふた筋の波に春立つ番鳥(つがひどり)

田起しや土の虫追ふ鳥の列

子の背丈伸びて忘るる雛人形

忍び寄り梅の雌しべに雄の虫

音もなく花から花へ目白舞ふ

つがひ鳥(つがひどり)ふた筋の波春立ちぬ



平成26年2月 雪

京の旅神と仏と雪の庭

堺暮れ雪灯篭に利休見ゆ

寒雀鳥インフルを避けて来よ

貸してみな云ふて恥かく独楽廻し

逝く友を送る車や風光る

堺暮れ利休想ほゆ雪灯篭

寒すずめ鳥風邪ひかず来て遊べ



平成26年1月 元旦

神前のとんどに()ぶる古き札

元旦やただ音もなく光射す

紅梅や蜜吸ふ目白宙返り

印刷に一筆添へし年賀かな

初釜や利休たづねよ南宗寺

孫帰り今年もハワイ土産かな



平成25年12月 紅葉

紅葉のまだきに数多古都の寺

石塀に纏ひし蔦や風()なす

集めしが焚くも憚る落葉かな

色冴ゆる焚くも惜しけし落葉かな

籠に盛る黒き炭いま部屋(きよ)

もみじ葉を透かし眼下に三方五湖

*古都の寺紅葉まだきに人数多
*掲示板のイチローさんからです。この方が良いですネ。
句の自由な添削・推敲をお待ちします。



平成25年11月 新藁

枯山水煤けし方丈秋の暮

マンションに喊声(かんせい)こだます運動会

新藁や今は刻まれ撒かれをり

一等も二等もなしや徒競走

紅葉恋ふ池泉の庭の茶室かな

金銀銅なしや今様徒競走

団体で競う今様運動会



平成25年10月 木犀

木犀や香り放ちて庭師呼ぶ

我が辞書に載せたくもなし「敬老日」

木犀の放つ香りや庭師呼ぶ

川荒れて背割り堤に秋の風

踏み場なく椎の実落とし風去りぬ

雑草に紛れし我と吾亦紅





平成25年9月 花火

幼子や(おど)け寝てみる籠枕

噴水やしぶき寄こせよつむじ風

静かなる童の線香花火かな

ひ孫たち大婆々送る火を灯し

遅蒔きの朝顔やっと顔を見せ



平成25年8月 夏燕

田舎家の軒賑はひし夏燕

五月雨と思はせ狂ふ豪雨かな

病葉をゆーらり吊るす蜘蛛の糸

撫子やそは今様の強き者

ハイウェイ並木の木槿(むくげ)あとへ飛ぶ

田舎家の軒騒がしき夏燕



平成25年7月 蛍火

蛍火を這はせし指の臭ひかな

閃光と轟音届かぬ雨蛙

紫陽花と信者が囲む慈母観音

梅雨晴間急ぎ軍手で草むしり

蛍より数多集きし都市公園

閃光に素知らぬ顔の雨蛙





平成25年6月 片陰

無意識に片陰選ぶ季節(とき)は来ぬ

卯の花を(かす)かに揺らす鳥一羽

緋牡丹や蝶よ花よと傘の内

豆飯や一合増しの炊飯器

亡き母とともに味わう新茶かな





平成25年5月 牡丹

雨上り水玉光る牡丹かな

折詰も噺も(よし)桜かな

色香なき古刹華やぐ桃の花

桃咲きて季節小さく移りけり

年甲斐もなく騒ぎたる花見かな

墨ごろも脇に華やぐ桃の花

 



平成25年4月 桜

()りて樹齢を刻む古桜(こおう)かな

雛壇と写す孫の手ヴイサイン

壺阪寺往く街道に雛飾り

野路を往く遍路の列に日の光

気高くも楊貴妃桜咲き誇り

雛壇と撮る孫の手やヴイサイン

壺阪寺参道旧家に雛飾り





平成25年3月 待春

待春の沢に動かぬ石斑魚(うぐい)かな

巡り来る春待つ(かつら)愛染堂

老幹に生きる精あり寒紅梅

薄氷溶けて静かな鯉の影

衣装箱開けては戻す名残り雪


写真クリックで拡大します



平成25年2月 春泥

春泥の靴散らばりし児童館

梅一輪まだ聞きもせず鳥の声

ひっそりと鳥も気付かぬ梅一輪

手が伸びし白き餅より蓬餅

朝ぼらけ桶に張りたる薄氷

雪明かり足跡侘し堂宇かな


延暦寺にて(12月)雪明かり足跡侘し堂宇かな



平成25年1月 山眠る

北天の星座も冴えて山眠る

丸餅も角餅もよし雑煮かな

群はずれ鳩と戯る寒雀

振袖の操る凧上げや新世代

往年の色香やかいづこ枯芙蓉


大阪市四天王寺日本庭園にて 枯芙蓉 アオイ科 フヨウ(ハイビスカス)属


平成24年12月 花八つ手

庭隅の季節を手繰る花八つ手

ご無沙汰の墓石を濡らす時雨かな

北風や美音奏でる斜張橋

凩や赤き実残し鳥を呼ぶ

美術館出づれば錦秋の暮





平成24年11月 干し柿

干し柿の軒連なるや紀伊の里

焼き芋とバターの昼食(ひる)で母偲ぶ

時早み追ひつけぬ身や秋の風

長き竿届かぬ先の熟柿かな

木犀の香に(ほころ)ぶや顔と顔


平成24年10月 野分

法堂や天井の龍野分呼ぶ

萩の寺ルソンの壺や目を集む

破れ蓮弁天池に鷺歩む

下賀茂やみたらし食みし秋簾

若冲の鶏群がるや萩の寺


平成24年9月 酔芙蓉

黄昏れて花宴(うたげ)(しま)ふや酔芙蓉

風鈴の音高まるや通り雨

盂蘭盆会供花華やぐ墓前かな

通り雨過ぎて再び花火咲く

雨宿り揺れるゴーヤー面憎し


黄昏て花宴終ふや酔芙蓉

 
雨宿り揺れる苦瓜面強し         風鈴の音高まるや通り雨


平成24年8月 葛の花

吉野山めぐる季節や葛の花

昼下がり星流るるや天文館

村はずれ片陰づたひの墓参かな

蒲焼や鰻かくれりゃ鯰食う

平日の蓮池に老カメラマン

ここもまた団塊寄せし蓮の池


蓮池や花より多しカメラマン

平成24年7月 紫陽花


紫陽花苑老いも若きも讃へたり

ケーブルで登るや涼し森林浴

暮れなずむ空に響くやホトトギス

噴水やし吹きてあたり涼やかに

梔子や庭蔭潔く照らしをり

梔子や
庭蔭淡く
照らしをり


平成24年6月 忍冬

忍冬金銀ちりばめ人誘ふ

新緑の木漏れ日に見ゆ金環食

緑陰にいきなり現る紅き塔

緑陰にいきなり朱き五重塔

紅と白めでたき箱根空木かな

緋鯉浮き映る金閣揺れにけり


すひかづら
金銀ちりばめ人を呼ぶ

紅と白
めでたき箱根空木かな




平成24年5月 水芭蕉

水芭蕉千仏となり風誘ふ

土手青む赤き鳥きをり

吾もまた仏を観たり座禅草

車椅子手漕ぎの母と花見かな

根分けする観音竹の葉擦れかな

御佛の遷り賜ひし座禅草




平成24年4月 春の月

京の寺枯山水に春の月

稲荷山鳥居抜けるや梅白し

亀池や足畳みをり鷺一羽

曲水の句遊び楽し桜かな

推敲に少し短し春の宵

水温む浅瀬に孤高の鷺一羽




平成24年3月 早春

献木し清水寺の春を待つ

レジにきて急ぎ追加の桜餅

雛人形古新聞から目覚めけり

病癒ゆ鶯餅の旨さかな

下萌やじゃれあふ仔犬背に土

平成24年2月 節分

節分や豆供へたる石の鬼

雪舞ふて人工芝の緑冴ゆ

初詣鈴緒にく信者かな

成人の日の誓ひ読む茶髪かな

日脚のぶ足伸ばしたり奥の院

節分や
豆供へたる
石の鬼


注)写真はネットより


平成24年1月 光陰

光陰の早きを思ふ柚子湯かな

更けし夜の石焼芋や走馬灯

木枯らしに向かひて児らはペダル踏む

黄水仙季節忘れず庭飾り

鄙びたる古刹も除夜に人の影

焼芋屋揺れし提灯走馬灯


平成23年12月 紅葉

嵐山や紅葉待ちわぶひ船

庭隠る小菊ひそかに匂ひけり

紅葉なる小庭を巡る渡り廊

方丈の襖に憩ふ つがひ鶴

誰がためにかくも燃えたる紅葉かな

方丈の
 襖に憩ふ
  つがひ鶴


注)写真はネットより
誰がために
かくも燃えたる
紅葉かな

京都市高雄
高雄山神護寺にて(11月)


平成23年11月 晩秋

花の寺雪除け繕ふ作務衣かな

主人より先に柿かな

かくれんぼコスモス揺れて鬼向かふ

例祭に神急ぎぬ神無月

彼岸花の赤い欄干稚児渡る

隠れしがコスモス揺れて鬼向かふ


平成23年10月 十三夜


十六夜の幽光か五重塔

兼題を貰ひしみじみ月を見る

十三夜辻に地蔵の影淡し

大獅子や仲秋に舞ふ中華街

鷺池や逆さ御堂と十三夜

(参考) 旧暦カレンダー (新月を1日、満月を15日とする))
十五夜(旧暦 8月15日)
 十六夜(旧暦 8月16日)
 十三夜(旧暦 9月15日)
旧暦は陰暦とも云われる


平成23年9月 野葡萄

野葡萄の蔓を纏ひし芭蕉句碑

昼の夢 亡き祖母笊に梅を干す

生国魂神社 咄家集ふ 残暑かな

盂蘭盆会 みまねで合はす 童の掌

マンションの闇の隙間に待つ花火

ビルとビル隙間に光る花火かな


平成23年8月 撫子

暮れなずむ土手に咲き添ふ烏瓜

万緑に朱き鳥居の稲荷かな

萍のすきまに流る雲ひとつ

撫子に金メダルてふ花言葉

盆栽にひとつ孤高の実梅かな

撫子に新花言葉金メダル

撫子に花言葉あり金メダル


平成23年7月 梅雨

紫陽花や濡れし地蔵の涎掛け

ラベンダー富良野想ほゆ植物園

天道虫怖ごわ掬ふ童かな

駒草や花の名体を現せり

取りどりの傘の花咲く梅雨かな

梅雨空や濡れし地蔵の涎掛け

紫陽花と地蔵の赤き涎掛け




ラベンダー植物園で富良野想ふ


駒草や草食む姿想ふなり


平成23年6月 どうだん躑躅

霧晴れてひときわ冴える紅どうだん

赤き実と見紛ふどうだん躑躅かな

磯つつじ小さき花に露重し

川跨ぎ群れなし泳ぐ鯉のぼり

風凪いで垂れし藤尾と鯉幟

川跨ぎなびく千成鯉のぼり




平成23年5月 石楠花

石楠花や暗き古刹の隅照らす

永き日や一ヶ寺余分に京めぐり

行く春や晴れの予報も雨となり

裾分けの筍嬉し勝手口

山笑う渓谷抜けるや大爆音

留守の間に筍呉れし勝手口




平成23年4月 ふらここ

ふらここや寂しく垂れし春休み

何気なく咲く薄紅の木瓜二つ

花知らずふじぐみといふ園児かな

復興を願ひ彼岸の写経かな

園児らの影なき砂場春休み

ふららこや寂しく垂れて園児待つ











平成23年3月 水戸の梅

水戸の梅和尚自慢の古き庭

肌寒き御寺の栞桜満開

石組と梅一輪の古庭かな

品書きに木の芽田楽書き添へる

微かにも蕾に添ひし香かな

大寒や御寺の栞桜ざかり




平成23年2月 湯豆腐

湯豆腐を掬へば指輪露光り

羽子板の美女洋装に色直し

白魚の黒目泳ぎし銚子かな

卯の新春廣田の杜に寅住まふ

巫女の掃く玉砂利潔し小鳥来る

湯豆腐を掬ひ指輪の露を拭く

卯の新春廣田神社にタイガース

卯の新春
廣田の杜に
寅住まふ



卯の新春
広田神社に
タイガース


平成23年1月 枯葉

枯葉落ち透けて新たな天守閣

メモに無い鯛焼きも買う年の市

年の瀬や人気もあらず鴨悠々

懐かしや畳上げたる大掃除

年の瀬や池に人気なく鴨悠々

子を儲け無神論者も初詣


枯葉落ち
 透けて新たな
  天守閣
年の瀬や
 池に人無く
  鴨悠々

年の瀬や
人気もあらず
カモ悠々





平成22年12月 落柿舎

落柿舎や去年と変はらぬ渋纏ふ

風も無し鳥発ち揺れる稲穂かな

寄り添ふや芝に二粒木の実かな

黍垂れの美山の郷に友偲ぶ

梔子や群れて実りぬ建仁寺

鳥発ちて黍の穂揺れる鯖街道

 



平成22年11月 青もみじ

八坂社の朱に交わらぬ青もみじ

青蓮院紅葉が照らす青不動

盆栽や枯山水に小菊咲く

仏壇や季節の走り青蜜柑

松茸が豊作と云ひ土瓶蒸す

松茸や先ず嗅ぎてのち土瓶蒸し

盆栽や
 枯山水に
  小菊咲く



平成22年10月 日輪草

配られし団扇の広告見ず扇ぎ

水涸れて小玉となりし西瓜かな

暑き秋まだだらけたる吾が身かな

高遠や絵島の宿に女郎花

並ぶ句碑一本づつの日輪草


      中村若沙 (なかむら じゃくさ)<1894〜1978>      高木石子<1916〜1993>
          「初夢のあまたの歌の神に逢ふ」           「住吉の松にちりばめ初霰
上の句碑は住吉大社にあります



平成22年9月 夏草

夏草や句碑の下の句隠しおり

夜の帳下りて鈴虫秘やかに

一向に季節移らぬ残暑かな

夕立を乞う街路樹やカサカサと

夏帽子脱がずに車発進し

笹の葉で暑さ凌ぐや比叡の歌碑

笹の葉で
 暑さ凌ぐや
  比叡の歌碑


中西悟堂<1895〜1984>の歌碑
樹之雫(きのしずく)
 しきりに落つる
 暁暗(ぎょうあん)
  比叡をこめて
   啼くほととぎす

比叡山延暦寺西塔にて



平成22年8月 星掬う

吉備の夜や城山に立ち星掬う

ビル陰に花火隠れて音競う

冷奴孫の口元賑やかに

幼児の握るスプーンに冷奴

今年また旨いうまいと冷奴


平成22年7月 蛍火

蛍火を追ふて能勢路の川辺かな

市街化の彼方に去りし麦の秋

卯の花に沿ひて流るゝ信者かな

五月雨や哲学の道にて我思ふ

城跡や姿も見えぬ不如帰

五月雨や
 哲学の道にて

 
 我思う
城跡や
姿も見えぬ

不如帰
・・



平成22年6月 植田

山の影茜に映える植田かな

鉢植えの新芽の伸びに声を挙げ

悠然と行く雲映す青田かな

不如帰鳴けどそ知らぬ子犬かな

葉桜や車椅子にて早や一年

山影を茜に染める植田かな

悠然と
 行く雲映す
  青田かな



平成22年5月 春雨

縁側にサンセベリヤの日永かな

園児らをそよぎて送る若楓

一羽二羽鷺立つ池に春の雨

春雨や平安神宮蒼と赤

春風に知らせ詫せし同窓会

園児らを
 優しく送る

  若桜
・・


園児らを
 そよぎて送る

  若楓
・・
春雨や
 平安神宮

  蒼と赤

平安の
 宮に煙るや
  春の雨

一羽二羽
鷺立つ池に 

春の雨 
 



平成22年4月 ミモザ

花ミモザたわわに群れる古刹かな

往来の目印なりしミモザかな

花落ちて水面に浮ぶ鯉頭かな

忘れえぬ思い出絡むミモザかな

あの日にも見た懐かしき花筏

古き友ミモザ頼りに着きにけり

あの日から早や一とせの花筏

来訪者
 ミモザ頼りに
  着きにけり



平成22年3月 梅と水仙

空青し紅白ちりばむ梅の園

日の光僅か肌蒸す梅見かな

梅が香を気高く清く写し撮り

香り愛で往きつ戻りつ梅の園

畦道に香り漂ふ群れ水仙

畦道や水仙の香で招きおり

日の光梅見の人の手に上着
空青し
 紅白ちりばむ

  梅の園
・・
梅が香を
気高く清く

写し撮り
・・


平成22年2月 温室


温室や思い出の花白い花

温室や窓少し開き風流る

温室の窓少し開く頃となり

温室の花から花へ蝶心地

温室の花を巡りて今日もまた

温室で巡り会ふ人巡る花

温室の外で蕾もふっくらと

温室の
 外も蕾が
  ふっくらと


平成22年1月 新春

どの絵馬の虎も大きく牙を剥き

初祝詞我が名聞こえて顔合わし

初祓い神妙に子等もこうべ垂れ

初詣茶髪も素直列つくり

撮影のため手袋を外しけり

シャッターのため手袋を外しけり

どの絵馬も   
虎が大きく 
牙を剥き


平成21年12月 紅葉、七五三

煎り栗の 香り芳し 参道かな

永源寺 紅葉に染まる 赤い橋

国宝の 荒れ本堂に 紅葉降り

荒れ寺の 堂宇の向かう 秋の山

スタジオの 中で寿ぐ 七五三

永源寺
 紅葉に染まる
  赤い橋



平成21年11月 柿、秋寒

稚児の竿 届くところや 柿一つ

薄明かり 夜明けの窓や 秋寒し

黎明の 窓に露おく 秋の風

眠る母 介護ホームや 秋の風

秋寒や 少しお湯足し 洗顔す

薄雲や 朧となりぬ 十三夜

稚児の竿   
届くところや
柿一つ


平成21年10月 萩、秋

うたた寝や 醒めて再び 虫の声

寺の萩 咲く気配して 入山す

此処かしこ 萩と戯れ 句碑めぐる

萩の掛図を 背に同胞と 夜もすがら

秋の川 老人の影 緩やかに

寺の萩
  咲く気配して
   入山す



平成21年9月 花火、蝉

西空や 光る屋根越し 音花火

連発の 光る窓辺で 花火聞く

一降りの 雨に秋立つ 庭静か

悲しげな 蜩聞いて 時を知る

熊蝉の 土砂降りの音は 今は無く


平成21年8月 夕立、蓮

土の香を撒きて忽ち 夕立ちぬ

蓮池や 群れなすカメラ 鴨一羽

振舞ひの蓮酒の茎垂れてをり

睡蓮と蓮色取りを競ひけり

象鼻酒や 待つ列と茎 共に揺れ


平成21年7月 棚田と紫陽花

早乙女の 影なく静む 千枚田

植え終へて 棚田に映る 丘の宿

紫陽花や 車椅子の子微 笑浮かべ

東林院 永久に咲かまし 沙羅双樹

紫陽花と 棚田を撮りぬ 千早村

紫陽花を 透かして光る 棚田かな

紫陽花を
  透かして光る
    棚田かな
紫陽花や 
車椅子の子
微笑浮かべ


平成21年6月 北摂池田城にて

土佐みずき 枯山水に 色添へり

鳥啼きぬ 卯の花越しに 天守閣

夏めくや 日差しに揺れる 天守閣

城跡に 起ちて仰ぐや 山笑ふ

陽炎に 静かに揺れぬ 斜張橋

陽炎に
 静かに揺れぬ
  斜張橋

土佐みずき

枯山水に色添えり


平成21年5月 想春賦

往く春の疾く移りたる青葉かな

便り待ちわびて夏の音忍ばるる

春暁に千鳥を想ふ淡路かな

近江路に五月雨けぶる宿しずか

春去ればはや紫陽花の頃偲ぶ


平成21年4月 桜

春風や咲き初めし桜そのままに

吹く風や馬酔木に掛かる桜かな

桜降るも童は鞠のみ追いにけり

散る桜に思いに耽る老婆かな

上下の枝にせわしきヒヨの群れ

吹く風や
 
馬酔木に掛かる
  
桜かな
上下に 
忙しく桜に
ヒヨの群れ

平成21年3月 梅

早咲きの梅より多き瞳かな

梅時雨合格祈る絵馬滲む

梅の池逆さに揺れる鳳凰堂

水仙や今年も同じ庭の隅

紅梅や目白迎へて紅を増し

水仙や
 今年も同じ
   庭の隅
梅時雨 
  合格祈る
    絵馬滲む

北野天満宮にて
紅梅や
  目白迎えて
    紅を増し


北野天満宮にて


平成21年2月 玄冬

静かなり大寒の滝遠く見ゆ

灯台や見上ぐも寒く波荒し

寒空や橋杭に咲くゆりかもめ

梅堅し静かにそっと鶯かへり

白鳥や鴨と鴎と昆陽の池

遠く見ゆ大寒の滝静かなり

寒空や 
橋杭に咲く
ゆりかもめ

和歌山県串本にて
静かなり
 大寒の滝
  遠く見ゆ

和歌山県 那智の滝にて
白鳥や 
鴨と鴎と
昆陽の池


伊丹市 昆陽の池にて


平成21年1月 初春

初すずめ稲穂飾りに群がりぬ

うぐいすや初音もらさぬ堅き梅

初詣祓い待つ輪に雪舞へり

寺寂れ除夜の鐘つく人もなく

警報に耳そば立てり初津波

群すずめ囀る稲穂飾りかな

村の寺
  除夜の鐘つく
    人もなく


参考インタネット一覧表  *花を詠んだ俳句・短歌集  *百人一首 *松尾芭蕉全俳句
 *布引三十六歌碑 *須磨の句碑 *須磨句碑歌碑
 *現代俳句 *季語

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