[自作俳句集] 中項目・目次
1. 俳句集その1<現在〜H21年>  2. 俳句集その2<H20年〜H12年>

平成20年12月 紅葉

雄叫びや紅葉背にして鉄の鹿

紅葉の美術の館池に揺れ

美術館出れば紅葉の新世界

地下室へ舞ひし枯葉とともに下り

薄光の展示室抜け天高し

紅葉の
 美術の館
  池に揺れ


滋賀県 佐川美術館にて

雄叫びや 
紅葉背にして
鉄の鹿

滋賀県 佐川美術館にて


平成20年11月 渡り鳥 

中堂もそのまた向こう紅葉かな

梵鐘の音静まりて小鳥(とり)啼きぬ

鐘打てど列乱れなし渡り鳥

鴉鳴きヒヨドリ飛びぬ柿赤し

白秋の歌碑に紅葉や延暦寺

梵鐘の音細くなり小鳥啼く

 中堂の
そのまた向こう
紅葉かな


写真は比叡山 横川中堂にて
梵鐘の 
音静まりて
小鳥啼きぬ

写真は比叡山 東堂 鐘楼前にて


平成20年10月 枯葉

龍神や山装う下御殿

朝霧や秘湯の女を包みおり

枯葉二つ密かに添ふて龍神湯

紅葉狩り熊野へ誘ふ八咫烏

吊り橋を透かして見仰ぐ鰯雲

熊野古道枯葉舞ひたる秘湯かな

静けさや
 熊野古道に
   枯葉舞ふ


写真は熊野古道 中辺路
滝尻王子
にて
紅葉狩り
熊野へ誘う

八咫烏

写真は 熊野本宮大社
拝殿前
にて

平成20年10月 曼珠沙華

赤き実の小さき庭に秋時雨

曼珠沙華緑の衣紅たすき

曼珠沙華並ぶ棚田にとんび鳴く

今様の松茸は香も聞きとれず

松虫草ホームページに飾りたり

曼珠沙華 ・・
緑の衣
紅たすき


写真はパナソニック (MY氏)撮影
松虫草
 ホームページに
  飾りたり


写真は長野県 入笠山にて撮影


平成20年9月 空蝉

空蝉や源氏を偲ぶ千年紀

断末魔闇に一声チーと夜蝉かな

懐かしき歌曲(うた)消す強き蝉時雨

地の温度昇りて法師蝉鳴かず

蓮の華泥根に咲きて浄土となす

蓮の華 
泥根に咲きぬ
浄土かな

写真(TM氏)

空蝉や 
 
源氏を偲ぶ千年紀
  


大阪府 池田市にて

平成20年8月 蝉時雨

蒸せる日は蝉時雨降る御堂筋

空耳か夜更けになおも蝉時雨

濡れ縁や線香の香と団扇かな

緑陰の微かに聞こゆ青春のうた

蛍火に揺れて動くや人の影


平成20年7月 花菖蒲

花菖蒲色さまざまに目養い

菖蒲園
八つ橋児らと渡るらむ

菖蒲園日ごと年ごと賑わへり

杜若あやめの見分け声高し

車椅子池端に誘う花菖蒲
花菖蒲株豊かにて
  目養い

大阪市城北公園にて
品種の多い花菖蒲は
目移りもするが目の保養にもなる
花菖蒲 
見分けるコツの
声高し

大阪市城北公園にて
皆が知りたくて
余り知らない菖蒲の見分け方を
得々と喋る技術員と訪問者

写真クリックで拡大

平成20年6月 滝

眺めても聞きても飽きぬ箕面滝

滝道のせり出す岩や山笑う

河鹿啼く渓谷に映えたる新緑かな

沢の音とつじょ轟音箕面滝

学童を包む新緑滝の道

大阪府 箕面滝にて

眺めても
 見ても飽かさぬ
   滝の水

眺めても
  聞きても飽きぬ
    箕面滝

大阪府 箕面滝にて

河鹿啼く 
渓谷に映えたる
新緑(みどり)かな
大阪府 箕面滝にて

滝道の
 迫り出す岩

  山笑う


写真は財団法人大阪府公園協会
HPから転載
唐人戻岩(とうじんもどりいわ)

平成20年5月 桜

同窓の昔をしのぶ桜の宴

先達の調べを手繰る桜の句碑

桜匂う堀にゆったり白い鳥

アルプスの水山葵田を冷ましけり

(はな)越しに常念岳の雪霞む

匂う
   堀に漂う白い鳥

彦根城にて
満開の美しい桜と
美しい白鳥の取り合わせ

先達の調べを手繰る 
の句碑

彦根城にて
句碑は与謝蕪村の
鮒ずしや 
彦根の城に雲かかる

写真クリックで拡大

越しに
  常念岳の雪霞む

北アルプスの常念岳も春を迎えた
このころのアルプスは残雪が
桜に映えて美しい
アルプスの水  
山葵田
冷ましけり

北アルプスの残雪が
冷たい湧水となって
わさび田に注ぎ
香りの良いわさびを作る

平成20年4月 春爛漫

緩やかに往きつ戻りつ桜筏

春しぐれ桜艶めいて滴りぬ

越前の旅や懐かし蛍烏賊

賑はひし花見に暮れて月霞む

夜桜や浮き立つ胸の余寒かな


(はな)咲いて
  浮き立つ胸に余寒かな


立春も過ぎ、桜も咲いて春本番を迎えた
と思ったら、まだまだ寒さが身にしみます
     

緩やかに往きつ戻りつ  
  桜(はな)

桜も満開となり、
ひらひらと舞い落ちる
花びらの緩やかな流れ

平成20年3月 梅が香

そちこちに高貴なかほり梅の苑

梅が香に微笑みあふて城南宮

梅が香が白き杖なり苔の道

鶯や梅が香を愛で謳いあげ

そよ風に香り預けし紅い梅

   

白い杖 
  梅に預けて 
    香り愛で

光をなくされた方が
ほんとうに楽しそうに
香りをたよりに梅を愛でておられた
そよ風に   
香り預けし
 
紅い梅


写真は北野天満宮にて

平成20年2月 えべっさん

縁起もの慣れぬ手つきの福娘

福笹を持ち上げ歩むえべっさん

福笹の波の流れに出口あり

初えびす鳥居の元に修験僧

初えびす幸せ願ふや異邦人

    

縁起もの
 慣れぬ手つきの福娘

今宮戎 激しい競争を勝ち抜いて
選抜された福娘
にわか仕込みの手元も
心もとない
初えびす  
 鳥居の元に
修験僧

大阪市 今宮戎
神社に僧あり
寺院に鳥居あり

平成20年1月 新年

注連縄の稲穂に集く雀あり

組み立ての説明もあり鏡餅

印刷の年賀手書を先に読み

印刷の年賀手書きで思い添え

印刷の年賀に僅か書き加え

注連縄の 
 稲穂に集く雀かな


何処からともなく
注連縄の稲穂は
目聡い雀の餌食になり、
下には籾殻が散らかって・・・

鏡餅   
 
セット組み立て 
 除夜を聞く


これも時代でしょうか
お鏡も組み立てセットを
用いる家庭が
多くなりました


平成19年12月 紅葉狩り

楼門に紅葉迫るや神護寺

空を切るかわらけ紅く染まりおり

蒟蒻も紅葉も紅き永源寺

もみじ一葉眼鏡地蔵にかかりたり

紅葉が照らす軒端に絵師あまた

 神護寺の 
  
紅葉(もみじば)楼門(もん)
   迫りおり


急な石段も
紅葉狩りには苦になりません

を切る   
かわらけ紅く  
染まりおり 
 
 

京都府高尾 神護寺のかわらけ投げ
紅葉真っ盛り
 蒟蒻を 
 茜
に染める紅葉かな


店先の名物こんにゃくも
紅く見える見事な紅葉
一葉     
眼鏡地蔵に  
そっと寄り 
 
近江湖東永源寺
珍しい眼鏡をかけた地蔵さん

紅葉が 
 照らす軒端に 
   絵師あまた


滋賀県
永源寺の紅葉狩り参拝者に遠慮がちな
軒に控えた絵画グループに紅葉が・・・

平成19年11月 丹後の里にて

岸壁の母の港に鶴来たる

寒空に橋立揺れるまた覗き

茜色の太陽の塔けふも立つ

初もみじ妹紅に頬をそめ

隠れても二人を照らす紅葉かな

寒空に
 橋立揺れる 
  またのぞき


微かにふらつきを覚えるまた覗き
天橋立が揺れて見えた
岸壁の母の港に 
鶴の舞ふ
 

京都府
舞鶴港の満州、シベリヤからの引揚桟橋
歌で聞く岸壁の母を想像
 茜色太陽の塔に 
  青春
(はる)偲ぶ

大阪府
あれから早くも37年が過ぎました
万博公園での俳句クラブの吟行
初もみじ  
いも紅に 

頬をそめ 
 

京都府 神護寺にて手を繋ぐ二人連れに
紅葉の紅が映えた

高雄槙尾西明寺の裏、
崩れた土塀の陰に二人は消えた
 忍ぶれど 
  二人を照らす 
   紅葉かな

平成19年10月 日本の故郷

(きび)越しに萱葺きの村時雨けり

蕎麦白く群れ咲く里やとんび舞う

美山へと誘う街道(みち)に百日紅

蜘蛛の糸露連なりて朝日さす

朝霧に光芒放ち森静か

黍実り雀群れ発つ鯖街道

 黍(きび)越しに 
  萱葺きの村 
   時雨けり

  
京都府美山郷で、
いまは珍しい黍が栽培され、実っていた。
蕎麦白く   
群れ咲く里に 

人まばら
 
京都府 美山の蕎麦畑。 
一面の蕎麦の周りには  
僅かのカメラマンが居るだ。 
 美山へと 
  誘う街道
(みち)に 
   百日紅
(さるすべり)
京都府 亀岡から美山に向かう街道沿い
百日紅の並木が続いていた。
蜘蛛の糸   
露連なりて  
数珠光る 
広島県の西北部、島根の県境に近い 
臥竜山の近くで 
朝露に重く垂れた 
珍しい蜘蛛の巣があった。。
 朝霧に 
  光芒放ち 
   森静か


広島県の西北部、
ぶな林の臥竜山の入り口、
近くで、朝靄に日の出が
美しい光芒を放っていた。
物音一つない静けさの中で。
黍実り   
雀群れ発つ  
鯖街道 

 京都府 美山の鯖街道沿いの 
苔むす民家 
民宿となっている。


平成19年9月 往く夏

空蝉を抜けて鳴くなり恋焦がれ

再会を願ひて眠る法師蝉

仰向けの蝉の羽ゆらす秋の風

雲流るツクツク法師とりを取り

線香花火落ちて休みの終はるらむ

遠鳴りの花火が止みて虫の声

空蝉を 
 残して恋に 
  焦がれ鳴き

この写真は
沼津市立浮島小学校
の先生の
教材から・・・

写真をクリックすると出典に至る
仰向けの  
蝉の羽ゆらす 
 秋の風

夏の終わりの
はかない命、寂しい風景

                                  
平成19年8月 三田永沢寺にて

紫陽花や額うな垂れて雨を乞い

蓮沼の隙間に映る青き空

門前の蓮池にあり逆さ仁王

かきつばた雫も涸れて垂れて舞う

写真機を覗く菖蒲の揺れに酔い

泥沼や青空映し蓮咲かせ

泥沼に 
 映る青空 
  蓮一輪


兵庫県三田市 永沢寺 山門前池にて

                紫陽花や   
     額うな垂れて 
       雨を乞い


               兵庫県 川西市 頼光寺にて


平成19年4月 高知への赴任を終えて

吾も赴任終ふて貫之偲ぶ春

閑職となりても忙し花に暮れ

ホーホケキョセカンドライフ謳い上げ

花冷えにしんみりセカンドライフかな

行く春に齢重ねて年定む

赴任終え   
貫之偲び春惜しむ


平成13年から6年間の高知赴任を終えて
高知県民族資料館所蔵
紀貫之
国宝 土佐日記
(写本)


平成13年 いかずち

稲光り去りて望みの雨僅か

稲妻にパソコンの手滞まりぬ

渇水に稲妻を忌み雨を乞い

いかずちが光りてメールの文字が化け


平成13年 古都奈良にて

根上がりし藤の老い木も房を垂れ

山門の仁王を畏れ鳩発ちぬ

修学の子らと撮りたる鹿の子かな

白藤の棚に向かいて杜若

火の影も無く二月堂に新芽萌え


平成13年5月 信州高遠にて

唐松の芽ぶく梢に珍鳥(とり)来たる

葉桜となりて静かな絵島かな

高遠の葉桜静か夢のあと

安曇野に雪解け溢れ水車

涌水で白馬を描く絵師数多

安曇野に
   雪解け溢れ水車

長野県 北アルプスの麓の
わさび田の水車は豊富な雪解け水で
ゆっくりと廻っている


平成13年4月 桜花爛漫

満開の桜
(はな)散るときを想わせず

花陰に忍びし二人影長し

夜桜を照らす雪洞二人
(ひと)の影

幼子の高い高いに桜
(はな)一輪

月明かり寒風を呼び桜散り


平成13年2月 玄冬

寒冷えに蝋梅淡く黄に染め

底冷えの朝水槽に金魚(うお)停まる

名も知らじ鳥に残せし柿一つ

地震(ない)走り棟繕いて春待ちぬ

枯枝の街路で見遣る渡り鳥

寒冷えに  
蝋梅淡く黄に染め

蝋梅の咲くころは寒い
この寒さが
黄に染めているのだろうか


平成13年1月 新世紀

成人式羽織袴の茶髪かな

新年の枯れ木に残る富有柿

ハルマゲドン明けて平らな新世紀

富有柿百舌鳥に変わらぬ新世紀

寿の鳥居に清き心あらむ


平成12年10月 入笠山を経て高遠へ

高遠の絵島の郷やおみなえし

入笠を越えて高遠女郎花

入笠の雲居の方に富士の峰

夏の夢寝覚めの床の玉手箱

入笠の行く夏惜しむ柳蘭

高遠へ
 揺れて誘う女郎花


長野県 南アルプスの北端の
入笠山から高遠に向う
高原は女郎花の花盛り
夏の夢   
寝覚めの床に玉手箱

木曽川の上流
上松にある浦島伝説の景勝地
入笠の行く夏惜しむ柳蘭

非常に美しい高山植物
ヤナギランが涼しい風を呼んで
もうすでに高原には秋の気配が
漂っています

平成12年8月 別れ

盂蘭盆に召されし友の訃報あり

声つまる弔辞に蝉はそっと待ち

大往生阿舎利の声と蝉の声

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