[自作俳句集] 中項目・目次 |
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1. 俳句集その1<現在〜H21年> 2. 俳句集その2<H20年〜H12年> |
平成20年12月 紅葉
雄叫びや紅葉背にして鉄の鹿
紅葉の美術の館池に揺れ
美術館出れば紅葉の新世界
地下室へ舞ひし枯葉とともに下り
薄光の展示室抜け天高し
紅葉の 美術の館 池に揺れ 滋賀県 佐川美術館にて |
雄叫びや ・ |
中堂もそのまた向こう紅葉かな
梵鐘の音静まりて小鳥啼きぬ
鐘打てど列乱れなし渡り鳥
鴉鳴きヒヨドリ飛びぬ柿赤し
白秋の歌碑に紅葉や延暦寺
梵鐘の音細くなり小鳥啼く
中堂の そのまた向こう 紅葉かな 写真は比叡山 横川中堂にて |
梵鐘の ・ 音静まりて・ 小鳥啼きぬ 写真は比叡山 東堂 鐘楼前にて |
龍神や山装う下御殿
朝霧や秘湯の女を包みおり
枯葉二つ密かに添ふて龍神湯
紅葉狩り熊野へ誘ふ八咫烏
吊り橋を透かして見仰ぐ鰯雲
熊野古道枯葉舞ひたる秘湯かな
静けさや 熊野古道に 枯葉舞ふ 写真は熊野古道 中辺路 滝尻王子にて |
紅葉狩り 熊野へ誘う 八咫烏 写真は 熊野本宮大社 拝殿前にて |
赤き実の小さき庭に秋時雨
曼珠沙華緑の衣紅たすき
曼珠沙華並ぶ棚田にとんび鳴く
今様の松茸は香も聞きとれず
松虫草ホームページに飾りたり
曼珠沙華 ・・ 緑の衣・ 紅たすき 写真はパナソニック (MY氏)撮影 |
松虫草 ホームページに 飾りたり 写真は長野県 入笠山にて撮影 |
空蝉や源氏を偲ぶ千年紀
断末魔闇に一声チーと夜蝉かな
懐かしき歌曲(うた)消す強き蝉時雨
地の温度昇りて法師蝉鳴かず
蓮の華泥根に咲きて浄土となす
蓮の華 ・ 泥根に咲きぬ・ 浄土かな 写真(TM氏) |
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平成20年8月 蝉時雨
蒸せる日は蝉時雨降る御堂筋
空耳か夜更けになおも蝉時雨
濡れ縁や線香の香と団扇かな
緑陰の微かに聞こゆ青春のうた
蛍火に揺れて動くや人の影
平成20年7月 花菖蒲
花菖蒲株豊かにて 目養い 大阪市城北公園にて 品種の多い花菖蒲は 目移りもするが目の保養にもなる |
花菖蒲 ・ 見分けるコツの・ 声高し 大阪市城北公園にて 皆が知りたくて 余り知らない菖蒲の見分け方を 得々と喋る技術員と訪問者 写真クリックで拡大 |
平成20年6月 滝
眺めても聞きても飽きぬ箕面滝
滝道のせり出す岩や山笑う
河鹿啼く渓谷に映えたる新緑かな
沢の音とつじょ轟音箕面滝
学童を包む新緑滝の道
大阪府 箕面滝にて 眺めても 見ても飽かさぬ 滝の水 眺めても 聞きても飽きぬ 箕面滝
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大阪府 箕面滝にて 河鹿啼く ・ 渓谷に映えたる 新緑(みどり)かな |
大阪府 箕面滝にて 滝道の 迫り出す岩や 山笑う 写真は財団法人大阪府公園協会の HPから転載 唐人戻岩(とうじんもどりいわ) |
平成20年5月 桜
同窓の昔をしのぶ桜の宴
先達の調べを手繰る桜の句碑
桜匂う堀にゆったり白い鳥
アルプスの水山葵田を冷ましけり
桜(はな)越しに常念岳の雪霞む
桜匂う 堀に漂う白い鳥 彦根城にて 満開の美しい桜と 美しい白鳥の取り合わせ |
先達の調べを手繰る ・
彦根城にて |
桜越しに
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アルプスの水 ・ 山葵田を・ 冷ましけり 北アルプスの残雪が 冷たい湧水となって わさび田に注ぎ 香りの良いわさびを作る |
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平成20年4月 春爛漫
緩やかに往きつ戻りつ桜筏
春しぐれ桜艶めいて滴りぬ
越前の旅や懐かし蛍烏賊
賑はひし花見に暮れて月霞む
夜桜や浮き立つ胸の余寒かな
桜(はな)咲いて 浮き立つ胸に余寒かな 立春も過ぎ、桜も咲いて春本番を迎えた と思ったら、まだまだ寒さが身にしみます |
緩やかに往きつ戻りつ ・ ひらひらと舞い落ちる 花びらの緩やかな流れ |
平成20年3月 梅が香
そちこちに高貴なかほり梅の苑
梅が香に微笑みあふて城南宮
梅が香が白き杖なり苔の道
鶯や梅が香を愛で謳いあげ
そよ風に香り預けし紅い梅
白い杖 ほんとうに楽しそうに 香りをたよりに梅を愛でておられた |
そよ風に 香り預けし 紅い梅 写真は北野天満宮にて |
平成20年2月 えべっさん
縁起もの慣れぬ手つきの福娘
福笹を持ち上げ歩むえべっさん
福笹の波の流れに出口あり
初えびす鳥居の元に修験僧
初えびす幸せ願ふや異邦人
縁起もの 選抜された福娘 にわか仕込みの手元も 心もとない |
初えびす ・ 鳥居の元に修験僧 大阪市 今宮戎 神社に僧あり 寺院に鳥居あり |
平成20年1月 新年
注連縄の稲穂に集く雀あり
組み立ての説明もあり鏡餅
印刷の年賀手書を先に読み
印刷の年賀手書きで思い添え
印刷の年賀に僅か書き加え
注連縄の |
鏡餅 ・ セット組み立て ・ 除夜を聞く これも時代でしょうか お鏡も組み立てセットを 用いる家庭が 多くなりました |
平成19年12月 紅葉狩り
楼門に紅葉迫るや神護寺
空を切るかわらけ紅く染まりおり
蒟蒻も紅葉も紅き永源寺
もみじ一葉眼鏡地蔵にかかりたり
紅葉が照らす軒端に絵師あまた
神護寺の |
空を切る ・ かわらけ紅く 染まりおり 京都府高尾 神護寺のかわらけ投げ 紅葉真っ盛り |
蒟蒻を 茜に染める紅葉かな 店先の名物こんにゃくも 紅く見える見事な紅葉 |
紅一葉 ・ ・ 眼鏡地蔵に ・ そっと寄り 近江湖東永源寺 珍しい眼鏡をかけた地蔵さん |
紅葉が |
平成19年11月 丹後の里にて
岸壁の母の港に鶴来たる
寒空に橋立揺れるまた覗き
茜色の太陽の塔けふも立つ
初もみじ妹紅に頬をそめ
隠れても二人を照らす紅葉かな
寒空に 橋立揺れる またのぞき 微かにふらつきを覚えるまた覗き 天橋立が揺れて見えた |
岸壁の母の港に 鶴の舞ふ 京都府 舞鶴港の満州、シベリヤからの引揚桟橋 歌で聞く岸壁の母を想像 |
茜色太陽の塔に 青春(はる)偲ぶ 大阪府 あれから早くも37年が過ぎました 万博公園での俳句クラブの吟行 |
初もみじ ・ いも紅に ・ 頬をそめ 京都府 神護寺にて手を繋ぐ二人連れに 紅葉の紅が映えた |
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高雄槙尾西明寺の裏、 崩れた土塀の陰に二人は消えた |
忍ぶれど 二人を照らす 紅葉かな |
平成19年10月 日本の故郷
黍(きび)越しに萱葺きの村時雨けり
蕎麦白く群れ咲く里やとんび舞う
美山へと誘う街道(みち)に百日紅
蜘蛛の糸露連なりて朝日さす
朝霧に光芒放ち森静か
黍実り雀群れ発つ鯖街道
黍(きび)越しに 萱葺きの村 時雨けり 京都府美山郷で、 いまは珍しい黍が栽培され、実っていた。 |
蕎麦白く ・ 群れ咲く里に ・ 人まばら 京都府 美山の蕎麦畑。 一面の蕎麦の周りには 僅かのカメラマンが居るだ。 |
美山へと 誘う街道(みち)に 百日紅(さるすべり) 京都府 亀岡から美山に向かう街道沿い 百日紅の並木が続いていた。 |
蜘蛛の糸 露連なりて 数珠光る 広島県の西北部、島根の県境に近い 臥竜山の近くで 朝露に重く垂れた 珍しい蜘蛛の巣があった。。 |
朝霧に 光芒放ち 森静か 広島県の西北部、 ぶな林の臥竜山の入り口、 近くで、朝靄に日の出が 美しい光芒を放っていた。 物音一つない静けさの中で。 |
黍実り 雀群れ発つ 鯖街道 京都府 美山の鯖街道沿いの 苔むす民家 民宿となっている。 |
平成19年9月 往く夏
空蝉を抜けて鳴くなり恋焦がれ
再会を願ひて眠る法師蝉
仰向けの蝉の羽ゆらす秋の風
雲流るツクツク法師とりを取り
線香花火落ちて休みの終はるらむ
遠鳴りの花火が止みて虫の声
空蝉を 残して恋に 焦がれ鳴き この写真は 沼津市立浮島小学校の先生の 教材から・・・ 写真をクリックすると出典に至る |
仰向けの 蝉の羽ゆらす 秋の風 夏の終わりの はかない命、寂しい風景 |
平成19年8月 三田永沢寺にて
紫陽花や額うな垂れて雨を乞い
蓮沼の隙間に映る青き空
門前の蓮池にあり逆さ仁王
かきつばた雫も涸れて垂れて舞う
写真機を覗く菖蒲の揺れに酔い
泥沼や青空映し蓮咲かせ
泥沼に 映る青空 蓮一輪 兵庫県三田市 永沢寺 山門前池にて |
紫陽花や |
平成19年4月 高知への赴任を終えて
吾も赴任終ふて貫之偲ぶ春
閑職となりても忙し花に暮れ
ホーホケキョセカンドライフ謳い上げ
花冷えにしんみりセカンドライフかな
行く春に齢重ねて年定む
赴任終え 貫之偲び春惜しむ 平成13年から6年間の高知赴任を終えて 高知県民族資料館所蔵 紀貫之 国宝 土佐日記(写本) |
平成13年 いかずち
稲光り去りて望みの雨僅か
稲妻にパソコンの手滞まりぬ
渇水に稲妻を忌み雨を乞い
いかずちが光りてメールの文字が化け
平成13年 古都奈良にて
根上がりし藤の老い木も房を垂れ
山門の仁王を畏れ鳩発ちぬ
修学の子らと撮りたる鹿の子かな
白藤の棚に向かいて杜若
火の影も無く二月堂に新芽萌え
平成13年5月 信州高遠にて
唐松の芽ぶく梢に珍鳥(とり)来たる
葉桜となりて静かな絵島かな
高遠の葉桜静か夢のあと
安曇野に雪解け溢れ水車
涌水で白馬を描く絵師数多
安曇野に わさび田の水車は豊富な雪解け水で ゆっくりと廻っている |
平成13年4月 桜花爛漫
満開の桜(はな)散るときを想わせず
花陰に忍びし二人影長し
夜桜を照らす雪洞二人(ひと)の影
幼子の高い高いに桜(はな)一輪
月明かり寒風を呼び桜散り
平成13年2月 玄冬
寒冷えに蝋梅淡く黄に染め
底冷えの朝水槽に金魚(うお)停まる
名も知らじ鳥に残せし柿一つ
地震(ない)走り棟繕いて春待ちぬ
枯枝の街路で見遣る渡り鳥
寒冷えに ・ この寒さが 黄に染めているのだろうか |
平成13年1月 新世紀
成人式羽織袴の茶髪かな
新年の枯れ木に残る富有柿
ハルマゲドン明けて平らな新世紀
富有柿百舌鳥に変わらぬ新世紀
寿の鳥居に清き心あらむ
平成12年10月 入笠山を経て高遠へ
高遠の絵島の郷やおみなえし
入笠を越えて高遠女郎花
入笠の雲居の方に富士の峰
夏の夢寝覚めの床の玉手箱
入笠の行く夏惜しむ柳蘭
高遠へ 揺れて誘う女郎花 長野県 南アルプスの北端の 入笠山から高遠に向う 高原は女郎花の花盛り |
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夏の夢 ・ 寝覚めの床に玉手箱 木曽川の上流 上松にある浦島伝説の景勝地 |
入笠の行く夏惜しむ柳蘭 非常に美しい高山植物 ヤナギランが涼しい風を呼んで もうすでに高原には秋の気配が 漂っています |
平成12年8月 別れ
盂蘭盆に召されし友の訃報あり
声つまる弔辞に蝉はそっと待ち
大往生阿舎利の声と蝉の声